相続対策や資産整理の現場において、「地代は入ってくるが、関係者の意向確認が手間で次世代に残したくない貸宅地・底地」の整理は大きな悩みの種です。
「底地だけでは市場性が低く売れない」「借地人と話し合うのも億劫だ」と⾧年放置されがちですが、単純な売買だけでは、思わぬ“負動産”を抱え込むリスクがあります。

今回は、顧問先様の貸宅地整理についてご相談いただいた税理士の先生と連携し、価格交渉の前に絶対に行うべき「不動産の構造整理」から実行支援までをワンストップで支援した事例をご紹介します。
1.ご相談の背景:ゴールは「権利関係の整理」だが、単純にはいかない
対象となったのは、地主様が所有する複数の貸宅地です。
地主様としては「借地人との賃貸借関係をできるだけ整理し、次世代へ複雑な権利関係を残したくない」という強いご意向をお持ちでした。
弊社で現地・役所調査と各借地人様への意向確認(ヒアリング)を行った結果、多くの借地人は「底地購入」を希望し、1区画については「地主様が借地権付建物を買い取る」という方向で話がまとまりかけました。
税理士の先生としても、一見これで賃貸借関係が整理でき、買い取った建物を賃貸に出せば丸く収まるように見えた案件でした。
2.解決の糸口:「とりあえず買い取る」に潜む落とし穴の発見
本来であれば、そのまま売買を成立させて終わるところですが、本件のポイントはそこに潜むリスクでした。
私たちの詳細な役所調査と現地確認により、買い取る予定の区画が「接道要件を満たしていない(間口不足)」ことが判明したのです。
つまり、将来建物を建て替えようにも「再建築不可」となる土地でした。
このまま借地権を買い取れば、表面的には整理できたように見えても、実務上は「出口のない不良資産」を地主様に抱え込ませてしまいます。
このリスクを事前に察知できたことが、本件の最大の分岐点でした。
3.整理戦略:隣接区画を巻き込んだ「底借交換」による価値再生
「どうすれば再建築可能な土地にできるか?」という課題に対し、区画単体ではなく、全体を俯瞰してパズルのように権利を組み替えるスキームを採用しました。
隣接する区画の借地人様が「底地の購入」を希望していたため、隣接区画の一部と、問題の区画(間口不足)の一部を「交換」するご提案をしたのです。
土地の一部を交換して接道間口を確保することで、問題の区画を「再建築可能」な価値ある土地へと生まれ変わらせるプロセスを関係者全員に説明しました。
4.現場実務の代行:一般の業者が敬遠する「泥臭い権利関係の整理」も完遂
借地人様は念願の完全な所有権を手に入れられ、地主様は将来の資産価値を落とさずに借地関係を整理できる。
こうした双方にとってメリットのある条件を整えるため、弊社が矢面に立って現場に足を運び、粘り強く調整を行いました。
接道状況や土地の形状、建築基準法の制限などを総合的に擦り合わせる、手間がかかり他社が敬遠しがちな実務を完遂し、無事に【底借交換+底地売買】を組み合わせた解決を実現しました。
5.結末:複雑な関係が整理された「安心の次世代承継」へ
最終的に、複数の借地人様への底地売却と、1区画の借地権付建物の取得を完了しました。
地主様は底地売却で得た資金を活用し、買い取った建物をリフォームして新たな賃貸運用をスタートされています。
長年の懸案であった借地関係の整理が進み、次世代へ複雑な権利関係を引き継がせずに済む形となり、地主様も大変安心されたご様子だったのが印象的でした。
税理士の先生方が貸宅地を確認される際、「机上の相続税評価額」は出せても、「実際に売れるのか」「誰なら買えるのか」「権利関係をどうほぐせば価値が上がるのか」といった不動産実務の視点でお悩みになる場面があるかと思います。
一般の不動産仲介会社では、こうした複雑な案件は単なる価格交渉のみで終わらせてしまうか、手離れが悪いため後回しにしてしまう傾向があります。
当社では、税理士の先生方と連携し、こうした“整理が難しい不動産”の実務面を全面的にバックアップいたします。
税理士の先生: 税務判断、特例適用の検討、申告業務、資産整理の方向性決定
当社(不動産): 現地・役所調査、借地人との折衝、売却・買取・交換など権利関係の整理と実行
※本事例は、実際のご相談をもとに、顧客のプライバシー保護のため内容を一部加工・編集して掲載しております。
