相続・事業承継の現場だけではなく、法人・個人の資産整理においても、不動産の売却は非常に重要となります。
今回は、顧問税理士の先生からご相談いただいた「税金滞納」と「銀行抵当権」が重複する収益物件について、迅速な売却によって抵当権抹消と滞納税金の完納を同時に実現した事例をご紹介します。
1.ご相談の背景
「滞納税金を整理したいが、不動産の売却実務まで手が回らない……」
相談主である顧問先様は収益物件を所有していましたが、資金繰りの悪化により税金滞納が発生しており、物件には金融機関の抵当権も設定されていました。
対応された税理士の先生としても、
- 滞納税金の整理や税務署・役所との協議を進めたい
- しかし、不動産の査定、買主開拓、抵当権抹消の調整、決済対応などは専門外である
という課題を抱えられており、実務サポートのご依頼を当社へいただきました。

2.対象物件の状況と「見落としがちなリスク」
対象物件は「駅徒歩3分」「満室稼働」という好立地にあり、一見すると投資用不動産として需要が高そうな物件でした。
当初、所有者様も1.3億円以上での売却を強く希望されていました。
しかし、現地調査および詳細な分析を行ったところ、以下の課題が浮き彫りとなりました。
- 建物の著しい劣化(定期的な大規模修繕が行われておらず、将来的な修繕費用が甚大)
- テナント属性による融資ハードル(一般的な金融機関からの融資が下りにくい業種が入居)
収益物件の売却可能性は、単に「満室」「好立地」だけで判断できません。
「買主が金融機関から融資を受けられるか」という実務的視点が不可欠です。
3.売却活動で判明した最大の課題
今回の最大のネックは、入居テナントの属性および建物の状態により、買主側で「銀行融資」を利用するのが極めて難しい点にありました。
融資を前提とした一般投資家をターゲットにすると、成約までに膨大な時間がかかるか、融資否認で契約が白紙になるリスクがあります。
滞納整理においては
「いつ差押えが入るか分からない」
「売却時期の遅れが命取りになる」
というタイムリミットが存在します。
そのため売却先は、「自己資金(現金)で即座に購入判断ができる投資家・不動産保有会社」に絞る必要がありました。
4.当社の対応
一般的な不動産ポータルサイトへの掲載では、冷やかしや融資不可によるキャンセルが多発する懸念がありました。
そこで当社では、以下の個別ダイレクトアプローチを実施しました。
- 隣接地の所有者様への打診
- 当社が提携する「現金購入が可能な不動産投資家・収益不動産保有会社」への直接打診
単なる価格追及ではなく、「確実に・タイムリミットまでに決済できるか」を見極めること。
・税金滞納の整理(公租公課の優先)
・既存抵当権の抹消(金融機関との調整)
・建物劣化・特殊テナントへの理解
・確実に決済できる買主の選定
これらを総合的に鑑み、条件をクリアできる買い手との交渉に集中しました。
5.結果
最終的に、信頼できる収益不動産保有会社(現金購入)への売却が成立いたしました。
- 売却価格:1.2億円(当初希望の1.3億円は下回ったものの、融資利用なしの確実な決済)
- 成果:抵当権の抹消、および滞納税金の全額支払いを完了
結果として顧問先様の債務整理・資産整理が大きく進展し、税理士の先生が抱えられていた「公租公課・税務上の懸念事項」もクリアすることができました。
税金滞納や借入金がある不動産案件では、「高く売れるか」だけでなく、「いつまでに、いくらで、確実に決済できるか」が重要になります。
特に収益物件の場合、満室稼働や立地条件が良くても、建物状態やテナント属性によって金融機関融資がつきにくくなることがあります。
その場合、通常の売却活動ではなく、現金購入可能な買主や特殊な物件に対応できる投資家へアプローチする必要があります。
税理士の先生が顧問先から不動産売却の相談を受けた際には、早い段階で不動産の実態を確認し、売却可能性、担保権、納税資金、決済時期を整理することが重要です。
不動産の整理が必要な顧問先がいらっしゃる場合は、初期段階からお気軽にご相談ください。
担当者からのひとこと
不動産の「売却可能性」は、机上の査定書だけでは見えてこないケースが多々あります。
先生方が税務業務に専念できるよう、不動産実務の「泥臭い部分(買主開拓・銀行交渉)」はすべて当社にお任せください。
